Friday, December 6, 2013

統合失調症における表情認知の障害は異なる感情でも同一であるか。心理学的信号検出から読み解く。

統合失調症患者は表情認知に困難を要する。心理学的信号検出理論によると、表情認知には2つの過程があるという。感覚処理過程(ある表情を他の表情から見分ける感覚)と、認知決定過程(ある表情を特定の感情として判断する返答基準)である。統合失調症における表情認知の障害が、どちらの過程の欠損で引き起こされるのかは不明である。この研究では、我々は、統合失調症患者はどちらの過程にも健常者と比べて欠損があると仮定した。DSM-Ⅳで統合失調症と診断された25人が年齢とIQが同一の健常者と比較検査された。参加者は、“イエス・ノー”タスクを遂行した。これは、88のエークマンの顔が無作為に並べられた“喜んでいる”・“悲しんでいる”・怖がっている“という条件に見合うかという検査であった。表情認知の感覚過程と認知決定過程に関しては心理学的信号検出でdプライムを用いた。統合失調症の患者は、喜んでいる表情を認識する感覚の低下を示したが、恐怖・悲壮を表す表情については認知困難は示さなかった。我々の研究は統合失調症の患者は喜んでいる表情を認識する困難がある一方で恐怖と悲壮を表す表情に関しては困難を示す傾向はないと結論付ける。

Tsoi DT, Lee KH, Khokhar WA, Mir NU, Swalli JS, Pluck G et al. (2008). Is facial emotion recognition impairment in schizophrenia identical for different emotions? a signal detection analysis. Schizophrenia Research, 99, 263-269. doi: 10.1016/j.schres.2007.11.006 



Is facial emotion recognition impairment in schizophrenia identical for different emotions? a signal detection analysis

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