Thursday, December 5, 2013

統合失調症における陰性症状と、目標達成意欲の低下

陰性症状は、統合失調症の特徴として広く知られていて、クレペリンの統合失調症に関する初期の記述にも説明されていた。これらの陰性症状は、心理学的用語では目標達成意欲を損なうものの代表として表される。しかしながら、精神医学内・神経医学内両方においても目標達成意欲を欠く臨床的障害はある。アパシー(無関心さ)は多数の神経変性疾患、パーキンソン病やアルツハイマー病などの重大な症状として認知されている。確かに、これらの症状は性質が異なる臨床障害の代表であるが、うつ病と無関心さは時として測定することが難しい。一つの理由としては、陰性症状の無関心さや無快楽症そのものがうつ病に顕著な症状であることが挙げられる。実際、うつ病はDSM‐Ⅳ(精神障害の診断と統計の手引き)・ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の基準ではうつ症状が見受けられなくてもうつ病と診断することができる。その場合、目標達成意欲の低下による陰性症状が大切な兆候となる。より極度な目標達成意欲が低下した行動は神経医学的な疾患にみることができ、例えば、アカイネジア(心的無動症)、無為(意志欠如)、無動無言症が例である。一般的には、目標達成意欲が低下した行動は脳の前頭前野の皮質下視床回路の欠陥から生じる障害においてみる事ができる。クリューヴァー・ビューシー症候群に限りこのような形では見受けられないが、多数の疾患は目標達成意欲の低下した行動の連続として観察することができる。

Pluck G & Lee KH (2013). Negative symptoms and related disorders of diminished goal directed behavior. Minerva Psichiatrica: A Journal on Psychiatry, Psychology and Psychopharmacology, 54, 15-29. 




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