Monday, February 24, 2014

うつ病治療のための、左側前頭前皮質への付随的反復経頭蓋磁気刺激法の4か月追跡治療:ランダム化比較試験

背景:反復経頭蓋磁気刺激法(rTMSのうつ病への効能性は不明確である。著者らは、4か月間の追跡調査と共に、本物のrTMSと偽rTMSのランダム化比較試験を実施した。
方法:うつ病を発症している59人の患者が無作為に、10日間の本物の前頭前野背外側部のrTMSn=29)若しくは、偽物のrTMS治療(n=30)のために選出された。主要な結果測定方法はハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)と治療後のHAMD50%のスコア低下が見受けられた患者とHAMD8を免除された患者の割合によって測定した。二次的な結果は、ベックうつ病特性尺度、VAMSVisual Analogue Mood Scale)、簡便精神医学的評価尺度(BPRS)、そして主観・客観両方から観察された認知機能の変化によって測定された。患者には6週間と、4か月間のフォローアップが行われた。
結果:概して、HAMDのスコアは両方の対象グループにおいて僅かに低下したが、時間別のグループごとの交差(p=0.09)や、グループの主効果(p=0.85)はなかった。
HAMD のスコアの変化の平均差は-0.3であった(95% CI3.4から2.8へ)。治療の最後では本物のrTMSでは32%が、効果があり、偽のrTMSではその割合は10%だった。(p0.06HAMD8が免除された割合は本物のrTMSを受けたグループでは25%、偽のrTMSを受けたグループでは10%であった。(p0.2HAMDのスコアの変化の平均差は2.9だった、(95% CI0.7から6.5へ)。両対象グループの二次的な結果には変化が見られなかった。患者にも、調査する側にも、盲検を維持するのが困難であった。

結論:左側前頭前皮質への付随的反復経頭蓋磁気刺激法は、偽のrTMSよりも効能があるとは見られなかった。


Mogg A, Pluck G, Eranti SV, Landau S, Purvis R, Brown RG, et al. (2008). A randomized, controlled trial with 4-month follow-up of adjunctive repetitive transcranial magnetic stimulation of the left prefrontal cortex for depression. Psychological Medicine, 38, 323-333. 




Saturday, February 22, 2014

執行猶予中の人々における、精神障害の傾向と、精神衛生維持の兆候

この研究の目的は、英国リンカンシャー州の執行猶予中の人口の精神障害の傾向と物質乱用についての評価を試みることである。執行猶予中の人々は貧困層の人々であることが分かり、一般人口と比べて高い割合で精神障害を有していることが分かった。総じて、27.2%が現在精神障害を有していて(有病誤診も含めると、この数字は38.7%に増加する)、この研究の参加者のうち39.9%は過去に障害を抱えていた(有病誤診を含むと48.6%)。カテゴリー別の結果は以下のとおりである。(有病誤診は各結果の最後に加えてある)

15%は、気分障害を有していた。(17.9%
21.4%は研究時点で不安障害を有していた。(27.2%
8.1%は精神病性障害を有していた。(11%
2.3%は摂食障害を有していた。(5.2%
47.4%は人格障害に当てはまる可能性があった。
38.2%は過去において、気分障害を有していた。
15.6%は過去において、精神病性の障害を有していた。

物質乱用に関する結果を見てみると、55.5%が、AUDITAlcohol Use Disorders Identification Test)において、危険な飲酒のカットオフ値である8点を超える8+をマークし、12.1%がアルコールへの重度の依存を示す11+をマークした。

Brooker C, Sirdifield C, Blizard R, Maxwell-Harrison D, Tetley D, Moran P,Pluck G, et al. (2011). An Investigation into the Prevalence of Mental Health Disorder and Patterns of Health Service Access in a Probation Population. Lincoln (UK): University of Lincoln. 

http://probationchiefs.org/wp-content/uploads/2011/10/RfPB-final-report-17.9.11.pdf

http://www.gpluck.co.uk




成人のホームレスの神経医学的・認知的能力

多数のホームレスの人々は、潜在的に神経医学的な障害を起こす可能性がある状況にさらされた経験がある。この研究では、80人のホームレスの参加者が、一連のテストを受けた。それらは、1)ホームレス状態前の能力を示す、長期記憶と知力を推定し、2)現在の記憶と知力を測定するために作られたテストであった。精神衛生の検診と物質乱用に関するデータも収集された。結果は、現在の記憶力と知力(IQ)は正常の人口の基準とホームレス状態前と比べても著しく低かった。記憶力のスコアは、100.5から90.3に低下し(P.001)、IQ98.8から95.6(P.038)に低下した。課題の種類(記憶力測定か、IQ測定か)と基準(ホームレス状態前か現在か)との関連性も著しく(P.003)、記憶力の方がIQよりも、変化が大きかったことを示した。多数の参加者が、物質乱用と精神衛生上の懸念を報告した。我々は、対象であったホームレスの個人個人が、ホームレス状態の前後に起こった認知機能の低下に苦しんでいることを結論付ける。


Pluck G, Lee KH, David R, Spence SA & Parks RW (2012). Neuropsychological and cognitive performance of homeless adults.Canadian Journal of Behavioural Science, 44(1), 9-15. doi: 10.1037/a0025382 

https://www.academia.edu/1512384/Neuropsychological_and_cognitive_performance_of_homeless_adults

http://www.gpluck.co.uk/