Friday, January 10, 2014

執行猶予と精神疾患

囚人の精神疾患の程度は高いが、執行猶予(社会奉仕活動など)に従事している者に関しての状況は、ほとんど知られていない。英国保健省が、犯罪人が精神疾患施設の利用ができるよう改善を図ろうとしているが、一度に多くの情報が求められる。現在の、そして恒久的な精神疾患の普及を推定するために、英国のリンカンシャー州で、執行猶予中の個人に疫学的な統計が実施された。統計は精神疾患簡易構造化面接(M.I.N.I)とその他の精神疾患の測定方法が使用された。我々は執行猶予中の個人約39%が精神疾患に苦しんでいて、中でも不安障害が一番共通していると推定した。更に、60%が物質乱用を抱えており、48%は人格障害があった。恒久的な精神疾患、共存症、重複診断も高い割合で見つかった。他の犯罪人の母集団と共通して、執行猶予中の者でも精神疾患の程度は高かった。


Brooker C, Sirdifield C, Blizard R, Denney D & Pluck G (2012). Probation and mental illness. Journal of Forensic Psychiatry and Psychology23 (4),522-537. doi: 10.1080/14789949.2012.704640 


治療中のアヘン中毒者の、中毒前と現在の神経心理学的機能

背景:物質乱用と神経心理学的障害(特に、前頭前野の機能に関するもの)を結びつける集成資料が存在する。物質乱用の直接の影響というよりはむしろ、中毒前、潜在的に障害があった可能性もある。
方法:現在、中毒治療中の患者22人が健康な対照者とマッチングされた。我々は、中毒前と現在の神経心理学的な異常を、前頭葉機能に関する行動評価尺度(FrSBe)を使用して比較した。中毒前の推定IQと、現在のIQも測定した。
結果:社会経済的な違いは両集団共に見られなかった。また、アヘン中毒と関連した認知機能の変化(現在のIQと関連して)や、中毒前のIQが潜在的に低かったことを示す結果は見つからなかった。しかし、FrSBeの結果では、アヘン中毒者のほうが高い割合で無気力の状態を報告した。また、前頭前野と結びつく神経心理的機能の障害を示すような証拠も、FrSBeの高いスコアから見つかった。加えて、アヘン中毒者は、中毒に先行する期間でも、健康な対象者と比較して高い割合で神経心理的異常を報告した。

結論:結果は、中毒者の中にも、総合的な認知機能とは独立して、神経心理的異常を示す患者がいるということを表す。そして、その異常は、物質乱用の影響が及ぶ前から既に存在していたということを示唆する。

Pluck G, Lee KH, Rele R, Spence SA, Sarkar S, Lagundoye O & Parks RW (2012). Premorbid and current neuropsychological function in opiate abusers receiving treatment. Drug and Alcohol Dependence. 124, 181-184. doi:10.1016/j.drugalcdep.2012.01.001 





Monday, December 16, 2013

英語を通して心理学を学ぶ:偶発的な読解力の向上

外国語としての英語で、学術的な分野を指導することは、学生にとっては付加的な努力を伴うかもしれないが、付加的な利益をももたらすことがある。私は、医学心理学のモジュールに則って、スペイン語が第一言語であるエクアドルの学生に教えたときの、結果を報告する。モジュールの朗読スコアは朗読前後で比較すると、読解力において大きな改善が見られた。しかし、読解後の理解度の自信に変化はなかった。スコアの改善は偶発的な学びの向上を表す、なぜならモジュールは英語の学習を意図する内容は含んでおらず、完全に学術内容重視のものであったからだ。私は学術誌のみを利用した指導は可能だと結論付ける。加えて、このアプローチによって読解力以外の分野も向上する可能性がある。

Pluck G (2013). Teaching psychology through English: Incidental improvement in academic reading comprehension. Journal of Education Sciences and Psychology, 3 (LXV), 38-42. 



Teaching psychology through English: Incidental improvement in academic reading comprehension

頭頂部の損傷によって引き起こされる方向判別機能の欠陥:視覚における腹胞と背胞の相互作用

我々は、左頭頂葉に損傷があり、角度の違いによって目標物を発見したり位置付けたりする機能が欠陥している患者の報告をする。患者は、目標物が単一の特徴(色の違いもしくは角度の違い)を有していた場合の見極めは比較的良かった。頭頂部の損傷の影響は、目標物の認識や角度の違いを減少させる働きを持つ、損傷のない腹側皮質回路に負荷をかけることにあるかもしれない。結果は背側皮質視覚路が、基本的な視覚の機能を支えているということで矛盾しない(例えば、定められた目標物の識別や見極めなど)。同様に、患者は目標物を定めるとき、目標物が大きく表示されたときのほうが見極めの結果が良くなった。更に、患者の見極めのパフォーマンスは、目標物の識別のパフォーマンスよりも良かったことから、見極めの機能のほうが識別機能より優先的に働いていたか、独立に働いたといえる。

Riddoch MJ, Humphreys GW, Jacobson S, Pluck G, Bateman A, & Edwards M (2004). Impaired orientation discrimination and localisation following parietal damage: On the interplay between dorsal and ventral processes in visual perception. Cognitive Neuropsychology, 21, 597-623. doi: 10.1080/02643290342000230 



Impaired orientation discrimination and localisation following parietal damage: On the interplay between dorsal and ventral processes in visual perception

学びの促進のためには好奇心を刺激するべき

好奇心はやる気につながる本質的なものであり、学生の学びの向上のために大きな可能性を秘めている。好奇心についての仮説と、その影響については成人教育に関連する心理学的・教育学的文献に重きを置きながら議論されている。特に、“情報格差”の概念は学究的好奇心の源として調査されている。加えて、好奇心の概念は全く異なる二つの次の学問分野でも応用が期待されている。一つ目が、第二外国語学習と二つ目が医学である。また、研究ベースの学習法は学生の好奇心を刺激する潜在的な要素として検討されている。理論に基づいた簡単な教室での指導上のテクニックも(どの学問分野にも応用できるが)学生の好奇心を刺激するものとなるはずだ。

Pluck G & Johnson H (2011). Stimulating curiosity to enhance learning.Education Sciences and Psychology, 19(2), 24-31. 



Stimulating curiosity to enhance learning

Friday, December 6, 2013

統合失調症における表情認知の障害は異なる感情でも同一であるか。心理学的信号検出から読み解く。

統合失調症患者は表情認知に困難を要する。心理学的信号検出理論によると、表情認知には2つの過程があるという。感覚処理過程(ある表情を他の表情から見分ける感覚)と、認知決定過程(ある表情を特定の感情として判断する返答基準)である。統合失調症における表情認知の障害が、どちらの過程の欠損で引き起こされるのかは不明である。この研究では、我々は、統合失調症患者はどちらの過程にも健常者と比べて欠損があると仮定した。DSM-Ⅳで統合失調症と診断された25人が年齢とIQが同一の健常者と比較検査された。参加者は、“イエス・ノー”タスクを遂行した。これは、88のエークマンの顔が無作為に並べられた“喜んでいる”・“悲しんでいる”・怖がっている“という条件に見合うかという検査であった。表情認知の感覚過程と認知決定過程に関しては心理学的信号検出でdプライムを用いた。統合失調症の患者は、喜んでいる表情を認識する感覚の低下を示したが、恐怖・悲壮を表す表情については認知困難は示さなかった。我々の研究は統合失調症の患者は喜んでいる表情を認識する困難がある一方で恐怖と悲壮を表す表情に関しては困難を示す傾向はないと結論付ける。

Tsoi DT, Lee KH, Khokhar WA, Mir NU, Swalli JS, Pluck G et al. (2008). Is facial emotion recognition impairment in schizophrenia identical for different emotions? a signal detection analysis. Schizophrenia Research, 99, 263-269. doi: 10.1016/j.schres.2007.11.006 



Is facial emotion recognition impairment in schizophrenia identical for different emotions? a signal detection analysis

Thursday, December 5, 2013

統合失調症患者における作業記憶の限定的増加下での持続的注意集中力検査のパフォーマンス

我々は24人の統合失調症患者と24人の健康な比較対象者に持続的集中力検査(作業記憶の限定増加版)を実施した。患者作業記憶の増加に伴って比較的早くパフォーマンスの低下を示していった。我々は、統合失調症では持続した注意力と作業記憶との相互作用で異常が起きていることを提唱する。

Lee KH, Tsoi DT, Khokhar WA, Swalli JS, Gee K, Pluck G & Woodruff PW (2012). Performance on the continuous performance test under parametric increase of working memory load in schizophrenia. Psychiatry Research197 (3), 350-352. doi: 10.1016/j.psychres.2011.09.016 

https://www.academia.edu/2344815/CPT_performance_under_parametric_increase_of_working_memory_load_in_schizophrenia

http://www.gpluck.co.uk/

Performance on the continuous performance test under parametric increase of working memory load in schizophrenia