Wednesday, November 20, 2013

パーキンソン病における物事への無関心さ

目標:パーキンソン病患者の物事への無関心さとそれによって引き起こされる障害、患者の機嫌、人格、認知との関係を評価すること。
方法:パーキンソン病患者45人の無関心さの度合いを、パーキンソン病と症状が同じ骨関節炎の患者17人と比較した。付加的に、うつ病・不安障害・患者の喜びの量を測定した精神神経系のデータも収集した。なお人格は3次元人格診断表を用いて測定した。認知機能測定には、ミニメンタルステート検査・CAMCOG、その他認知制御に関する課題を実施した。
結果:パーキンソン病患者の方が同症状の骨関節炎の患者より、圧倒的に物事への無関心さの度合いが高かった。更に、パーキンソン病患者限定の抽出結果では、無関心さの度合いは疾患の進行状況とは関係がないことも分かった。高い無関心さの度合いを示したパーキンソン病患者の方が感じる喜びの量は少なかったものの、必ずしも、無関心さの低い度合いを示した患者よりもうつであったり不安である訳ではなかった。また、比較した双方の疾患の患者ともに互いに人格の特徴に違いは見受けられず、パーキンソン病患者のグループ内でも無関心さの度合いに関係なく人格に違いは見受けられなかった。認知機能に関しては、比較した双方の疾患の患者ともに互いに同等の能力であった。しかし、パーキンソン病患者限定の抽出結果においては、無関心さの度合いが高いグループの方が低いグループよりも認知制御の課題を果たせた患者が少なかった。

結論:パーキンソン病患者における物事への無関心さは、障害への適応・反応によるものというよりは、障害関連の患者の生理的な変化によって起こるものである可能性が高い。パーキンソン病患者に起こる無関心さというものは、疾患と関連している他の精神医学的症状や人格の特徴とは区別ができるものであり、認知機能障害と深く関わりがある。これらの発見は、無関心さの表出で認知機能が果たす役割を指し示している。


Pluck G & Brown RG (2002). Apathy in Parkinson's disease. Journal of Neurology Neurosurgery and Psychiatry, 73, 636-642. doi:10.1136/jnnp.73.6.636 



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